ビタミンが風邪の治癒過程において無意味なわけではありません。むしろ生化学の観点から見れば、補酵素としてのビタミンB群や抗酸化物質としてのビタミンCは、激しい免疫反応を支える必須の資材です。
ビタミンB1は発熱によって亢進した糖質代謝を支え、疲労物質の蓄積を防ぎます。ビタミンB2およびB6は、ウイルス侵入によって荒廃した咽頭粘膜上皮細胞の再生を後押しします。ビタミンCは、ウイルスを貪食する白血球内部に高濃度で集積し、活性酸素による自己細胞の酸化障害を防ぐ盾となります。問題は「投与のタイミング」と「用量設計」です。
総合感冒薬とビタミン剤を安全に併用するためのガイドラインとして、専門家は「1〜2時間のタイムシフト服用」を強く推奨します。
風邪薬の多くは胃粘膜への攻撃性を和らげるため「食後30分以内」の服用が義務付けられています。このタイミングでまずは感冒薬のみを白湯で服用し、主成分の吸収を開始させます。その後、消化活動が一段落した食後1時間半から2時間の段階で、カフェインを含まないビタミン剤(B群・C)を適量摂取します。この時間差を設けるだけで、胃内容物の急激な浸透圧上昇を防ぎ、肝代謝酵素(チトクロームP450等)の競合による分解遅延を回避することが可能です。