市販の風邪薬(総合感冒薬)を飲んだ後に血圧が急上昇する主因は、鼻水・鼻づまりや咳を抑える目的で配合されている「アドレナリン作動薬(交感神経刺激成分)」にあります。特に注意しなければならないのが、プソイドエフェドリン塩酸塩やdl-メチルエフェドリン塩酸塩といった成分です。
これらの成分は、鼻粘膜の血管に存在するα受容体や心臓・気管支のβ受容体に作用します。鼻づまりを解消するメカニズムは「拡張した鼻粘膜の血管をキュッと収縮させて腫れを引かせる」ことですが、この血管収縮作用は鼻粘膜だけにとどまりません。全身の末梢血管を強力に収縮させ、同時に心拍数を増加させるため、結果として心臓から送り出される血液の圧力(血圧)が急激に跳ね上がってしまいます。
厚生労働省の添付文書基準や日本高血圧学会のガイドラインにおいても、プソイドエフェドリン配合薬は「高血圧の診断を受けた人」に対して原則禁忌、あるいは「服用前に医師・薬剤師に相談すること」と厳格に規定されています。現在、降圧剤(血圧を下げる薬)を服用して安定した数値を保っている方であっても、風邪薬の血管収縮作用が降圧剤の効果を相殺し、一時的に収縮期血圧(上の血圧)が20〜30mmHg以上も急上昇する危険性があるため厳重な警戒が必要です。