職場の複雑な人間関係や過剰な期待によるプレッシャー。現代人が抱えるストレスの大部分は、「他者の不合理な振る舞い」や「思い通りにならない現実」に起因する。ブッダは人間の苦しみの原因を「執着」と「無知(ものの本質を見誤ること)」に求めた。
たとえば、「怨みは怨みによって消えず、怨みを捨ててこそ消える」という有名な言葉がある。理不尽な攻撃を受けたとき、人は怒りで返しがちだ。しかし、怒りに怒りで報いれば憎しみの連鎖が自らの心を蝕むだけである。ブッダの解く真意とは、感情に身を任せるのではなく、一歩引いて事象を客観視する強さを持つことにある。
「過去を追うな。未来を願うな。過去はすでに過ぎ去り、未来はまだ至っていない。ただ、現在の今ある姿を観察せよ」という教えも、タスクに追われ未来の不安に苛まれる現代のビジネスパーソンに強く響く。現代における自己啓発・マインドフルネスの潮流も、この「いま、ここ」に意識を集中させる仏教の真意が基盤となっている。