「二度寝は脳にとって毒なのか、それとも薬なのか」——この長年の論争に対し、先端の研究機関が解を出し始めている。かつてスタンフォード大学睡眠生体リズム研究所の所長を務めた西野精治教授らの研究をはじめとする現代の睡眠科学は、目覚め直後の脳が極めて繊細なホルモンバランスの上に乗っていることを解明した。
人間が覚醒する際、体内では「覚醒ホルモン」とも呼ばれるコルチゾールが急激に分泌される。このホルモンは血圧や血糖値を上昇させ、身体を活動モードへと切り替える役割を果たす。しかし、アラームを止めて再び微睡みに落ちると、このホルモン分泌の波が途中で強制中断される。その結果、脳は覚醒と睡眠の「夾雑状態」に放り込まれ、覚醒直後の深刻な頭重感やだるさ、いわゆる睡眠慣性が数時間にわたって続くことになるのだ。