本作が日本のエンターテインメント史において果たした役割は極めて大きいと言えます。従来の日本の警察ドラマは、昭和から平成にかけて定着した「叩き上げの男性ベテランと熱血若手」という縦社会の体育会系バディ、あるいは男女の恋愛感情をほのめかす構造が大半を占めていました。
しかし『未解決の女』は、そのステレオタイプを鮮やかに解体しました。「身体性(フィジカル)」を前面に押し出す若手女性刑事(波瑠)と、「知性・内省(ロゴス)」を司る年長女性刑事(鈴木京香)の組み合わせは、ジェンダーの役割固定観念を完全に逆転させています。心理学的に見ても、双方が過度に干渉しすぎない「健全な心理的バウンダリー(境界線)」を保ちながら協働する姿は、現代社会における理想的なプロフェッショナル関係のモデルケースとして提示されました。
この緻密な構造を踏まえ、本作を「おすすめできる人」と「慎重になるべき人」の判断基準を以下に提示します。
【本作の視聴が極めて向いている人】
・知的な伏線回収や、文字・暗号・文体論から真相を暴くパズル的ミステリーが好きな人
・不要な恋愛のもつれを排除し、専門職同士のストイックな信頼関係(自立したバディ)を楽しみたい人
・遠藤憲一、沢村一樹、高田純次といった名優たちの渋くコミカルなアンサンブルを堪能したい人
【視聴において慎重になるべき人】
・息もつかせぬ派手な銃撃戦や激しいカーチェイスなど、ハリウッド的なアクション中心の展開を最重要視する人
・1話完結のライトなテンポ感よりも、全話を通じてひとつの巨大な巨悪を追い詰める連続サスペンス(『相棒』の長編回のような重厚な政治劇など)を求める人