和風ファンタジーや陰陽道もの、明治・大正浪漫を舞台にした創作では、日本の伝統的支配階級の苗字が強力な記号となります。日本の高貴な苗字は、平安京の通り名(屋敷の所在地)に由来する公家(くげ)と、地方の所領名に由来する武家(ぶけ)で明確に毛色が異なります。
頂点を極めた「五摂家(ごせっけ)」と「清華家(せいがけ)」
摂政・関白に就任できる藤原氏直系の最高位である五摂家は、いずれも京都の街路や邸宅に由来します。
- 近衛(このえ):近衛大路の邸宅由来。最高格式の気品と、近衛兵を連想させる峻厳さを併せ持つ。
- 鷹司(たかつかさ):鷹司小路由来。鳥の「鷹」の字が入り、鋭敏で誇り高いイメージ。
- 九条(くじょう):平安京南端の九条大路由来。落ち着きと歴史の深さを感じさせる。
- 二条(にじょう):政治の中心地二条大路由来。権力闘争の中心に立つ冷徹な知性派に適合。
- 一条(いちじょう):平安京北端の一条大路由来。端正で孤高の美学を漂わせる名門。
さらに太政大臣まで昇進可能な清華家(9家)には、久我(こが)、三条(さんじょう)、西園寺(さいおんじ)、徳大寺(とくだいじ)、花山院(かざんいん)、大炊御門(おおいのみかど)、今出川(いまでがわ)、広幡(ひろはた)、醍醐(だいご)があり、いずれも字面から圧倒的な血統の重みが伝わります。
字面だけで圧倒する「高貴で珍しい公家苗字」
和風伝奇や現代異能バトルなどで、隠された名門の血筋を表現するのに最適な珍しい公家由来の苗字です。
- 正親町(おおぎまち):京都の正親町小路に由来。皇族に近い血統を想起させる特異な読み。
- 冷泉(れいぜい):冷泉小路由来。歌道の宗家であり、雅(みやび)で静謐な術士キャラクターに最適。
- 勘解由小路(かでのこうじ):勘解由使庁の所在地に由来。日本で最も長い苗字の一つであり、唯一無二の存在感。
- 万里小路(までのこうじ):平安京の小路名。流麗な文字の並びが華やかな呪術系名門を思わせる。
- 烏丸(からすま):烏丸小路由来。「烏」の字が持つ不吉さと気品が同居し、ダークヒーロー向き。
- 甘露寺(かんろじ):寺院名由来の堂上家。優美で甘やかな響きの中に厳然たる格式を含む。