ネット上やSNSでは「パリコレモデル=誰もが大金持ち」「容姿端麗なら誰でもなれる」といった短絡的な言説が見受けられますが、現実は極めて過酷です。
最大の誤解は、「ランウェイショーの出演料だけで莫大な富を得ている」という思い込みです。実は、パリやミラノのコレクションにおけるショー1本の出演ギャランティは、新人や中堅の場合、数万円〜数十万円程度にとどまるケースが少なくありません。現地の滞在費や渡航費、エージェントへの手数料を差し引くと、コレクション期間中は実質赤字という事態も日常茶飯事です。
では、なぜモデルたちは命を削ってランウェイを目指すのか。それは、世界最高峰のショーに出演すること自体が「最高ランクの信用証明(クレジット)」となり、その先にあるグローバルコスメブランドの広告塔契約や、メゾンのワールドワイドキャンペーン契約(数千万円〜数億円規模の契約金)へと繋がる唯一の登竜門だからです。
また、「生まれ持った容姿だけで勝負できる」というのも完全な誤解です。現地オーディションでは1日に数十件のキャスティングを自力で回り、何百人もの候補者の中から数秒で合否が下されます。自己主張の弱さや語学力の不足、メンタルの揺らぎは即座に見抜かれ、容赦なく切り捨てられます。華やかなステージの裏には、アスリート以上の徹底した体重管理と強靭な精神力が横たわっています。