選手権の魔物は、戦術のアップデートによってさらに牙を研いだ。今大会の愛知予選で際立つのは、ベンチの指揮官たちが施す戦術の緻密さだ。単なる4-4-2のブロック形成に留まらず、ボール保持時にはアンカーが落ちてバック3を形成し、両サイドバックが高い位置を取る可変システムが当たり前のように実装されている。
相手のビルドアップを詰ませる前線からの超ハイプレスは、選手全員に強烈な走力と即座の判断力を要求する。一瞬の油断が命取りになるなか、名将たちは対戦相手ごとにアプローチを変更する「秘匿陣形」を用意してきた。前半と後半で全く異なる顔を見せるチーム、あるいはリードした瞬間に極限のブロックを敷く戦術。目の前で展開される高度な将棋のような攻防に、スタンドの観客も呼吸を忘れて見入ってしまう。