塩釜みなと祭りが「日本三大船祭り」(宮島・厳島神社の管絃祭、大阪・天満宮の天神祭と並ぶ)と称される最大の理由が、本祭の午後に行われる神輿 海上渡御です。
塩竈神社の主祭神である「塩土老翁神(しおつちのおじのかみ)」の神輿を載せる鳳凰丸、そして志波彦神社の神輿を載せる龍鳳丸という2隻の巨大な御座船が主役を務めます。竜頭や鳳凰の彫刻で絢爛に飾られた御座船を取り囲むように、大漁旗をたなびかせた約100隻の供奉船(ぐぶせん)が隊列を組み、松島湾内を巡航する光景はまさに圧巻です。
現場取材で見逃せない瞬間は、海上へ出る前後に訪れます。塩竈神社の象徴である「表坂202段」の石段を、重量1トンを超える巨大な神輿を担ぎ手たちが一段ずつ慎重に、かつ迫力満点に下りていく「発御」と、夜闇の中で松明の火に照らされながら駆け上がる「還御」です。担ぎ手の掛け声と見守る群衆の息を呑む静寂が交錯するこの儀礼空間には、港町・塩竈が受け継いできた海洋信仰の魂が宿っています。