なぜ、これほどまでに心が追い詰められてしまうのでしょうか。その根底には、大人の発達障害(ASD:自閉スペクトラム症/旧アスペルガー症候群)の特性と、それに伴う情緒的交流の欠如があります。
ASDの特性を持つ人は、知的能力や言語能力に問題がない場合が多く、職場では「几帳面で優秀な人」と高く評価されるケースが目立ちます。しかし、親密な間柄において不可欠な「相手の文脈を汲み取る」「感情を共有して共感する」という認知的・情緒的処理が脳の機能的特性として極めて困難です。悪気や敵意があるわけではなく、根本的に「他者の心の機微を直感的に察する機能」が働いていないのです。
このすれ違いにより、夫婦関係における深刻なコミュニケーション不全が発生します。こちらが泣いて助けを求めても、相手から返ってくるのは「なぜ泣くのか理由を論理的に説明して」「泣いても問題は解決しない」といった冷徹な反応ばかり。日々の生活で「感情のキャッチボール」が完全に遮断され、投げたボールが虚空に消え続けることで、パートナー側はまるで壁に向かって叫んでいるような精神的飢餓状態に陥っていきます。