なぜ葛西臨海公園がそうした犯罪の温床となってしまったのか。その背景には、都市設計と環境犯罪学における構造的な要因が存在していました。
第1に、敷地面積約80.6ヘクタールという圧倒的な広大さです。開園初期は植栽が生い茂る一方で外灯の配置が疎らであり、夜間になると園内の大半が完全な暗闇に包まれていました。環境犯罪学で提唱される「自然監視性(周囲からの見通し)」が決定的に欠如していたため、犯罪を企図する側にとって格好の隠れ場所となっていたのです。
第2に、都県境(東京都江戸川区と千葉県浦安市の間)に位置する地理的匿名性です。国道357号や首都高速湾岸線、JR京葉線が交差する交通の要衝でありながら、夜間は周囲の商業施設が閉まるため、外部からの侵入と逃走が容易でした。夜間に居場所を求めるヤンキーグループが集結しやすいロードサイド環境が整っていたことも、不良のたまり場化に拍車をかけました。