小宮悦子の原点を振り返る上で欠かせないのが、東京都立井草高等学校を経て進学した東京都立大学人文学部社会学科での学びと、1981年のテレビ朝日入社です。
入社当初から安定したアナウンス技術で頭角を現していた彼女の運命を決定づけたのが、1985年10月にスタートした伝説的報道番組『ニュースステーション』でした。メインキャスターである久米宏のアドリブや鋭い舌鋒に対し、冷静かつ的確にフォローを入れつつ、自らの視点で切り込むサブキャスターの役割を見事に確立しました。
それまで「男性アナウンサーの補助役」「原稿読みの担当」にとどまりがちだった女性アナウンサーの立ち位置を、「自らの知性と感性でニュースを解説する報道ジャーナリスト」へと押し上げた功績は極めて大きく、1991年のフリー転身後もテレビ朝日の看板であり続けました。当時のインタビューや手記において、久米宏との緊張感ある生放送の現場を「一瞬も気が抜けない真剣勝負の連続であり、言葉の重みを徹底的に叩き込まれた場所」と回顧しています。