北日本エリアに居を構え、年の半分近くを雪と土と共に過ごす生活。松山ケンイチと小雪が実践する二拠点生活は、世間一般がイメージする優雅な別荘暮らしとは根本から異なる。自ら畑を耕して野菜を育て、有害鳥獣として捕獲された鹿や熊の肉を余すことなく解体し、食卓に並べる。自然のサイクルに身体を預け、命をいただく実感を皮膚感覚で味わう毎日だ。
この徹底した暮らしぶりは、子どもたちに「生きる力」を肌で感じさせたいという共通の願いから始まった。スーパーに並ぶ切り身の肉やパックの野菜ではなく、土から芽吹き、命を落として食糧となる過程をありのままに見せる。利便性を手放す代わりに手に入れたのは、圧倒的な生命力と家族の濃密な対話の時間だった。東京での仕事が入れば即座にシフトを切り替え、現場へと向かう。都会のスタジオと北の大自然。この極端な振れ幅こそが、彼らの精神を常にフレッシュに保つ原動力となっている。