大金を獲得した際、誰もが直面するのが「税金」の壁だ。数千万円、数億円という大金が動けば、通常なら最高税率に近い所得税や住民税が重くのしかかる。しかし、五輪マネーには特別な聖域が用意されている。
それが所得税法第9条(非課税所得)の規定だ。
JOCおよびJOC加盟の各競技団体から交付されるメダル報奨金は、国税庁により非課税所得として扱われる。つまり、JOCから振り込まれる500万円や、認定競技団体が規程に基づき支給する正規の報奨金には一切の所得税がかからず、全額がそのまま選手の手元に残る。
ただし、ここに大きな落とし穴が存在する。非課税枠が適用されるのは、あくまで「JOCおよび公的に認定された競技団体」からの報奨金に限られる点だ。所属企業からの特別功労金や、個人的なスポンサー契約を結ぶ企業から贈られる数千万円のボーナス、さらにはテレビ出演料やCM契約料などは容赦なく課税対象となる。これらは「一時所得」や「給与所得」として処理され、翌年には莫大な納税通知書が届くことになる。名誉の報酬を守り抜くためには、選手自身にもシビアなマネーリテラシーが求められている。