緻密な計算と一切の妥協を許さない画面構成で知られるデヴィッド・フィンチャー。彼が本作の監督として指名されたというニュースは、映画界全体に大きな激震を走らせた。『セブン』や『ゴーン・ガール』でみせた人間心理の深淵を覗き込む視線は、本作でも遺憾なく発揮されている。
彼が追求するのは単なる驚きではない。静寂の中に潜む狂気、日常がじわじわと崩壊していく恐怖だ。重厚なサスペンス・スリラーとしてのクオリティを極限まで高めるため、照明の一コマ、役者の瞬きひとつにまで監督の意図が張り巡らされている。現場の緊張感は尋常ではなく、1シーンにつき50テイクを超える撮影も日常茶飯事だったという。