「治水」という言葉は、洪水や高潮による水害を防ぐための防護策全般を指す。しかし、その概念は「利水」と対を成すものであり、治水と利水が揃って初めて安定した社会生活が成り立つ。水資源を安全にコントロールして災害を防ぐのが治水であり、その制御された水量を生活用水や農業用水、工業用水として効率的に活用するのが利水だ。
治水の真の目的は、水災害による人命の損失を最小化するだけでなく、土地の価値を高め、持続可能な都市形成を支えることにある。防災の観点からも、単に水を防ぐ壁を作るだけでなく、流路をコントロールして氾濫域を安全に誘導する総合的な設計が求められる。単なる土木作業ではなく、地域全体のライフラインと生態系を守り抜く国家戦略としての役割を担っているのだ。