犬の耳にダニがびっしり湧く原因と治療法!黒い耳垢と猛烈な痒みの正体

犬の耳にダニがびっしり湧く原因と治療法!黒い耳垢と猛烈な痒みの正体

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愛犬の耳が汚れているのを発見した際、多くの飼い主が良かれと思って手に取るのが人間用の綿棒です。しかし、小動物臨床の現場において獣医師が口を揃えて「絶対にやってはならない」と警告するのが、この綿棒による耳道内掃除です。犬の外耳道は人間と異なり、垂直耳道から水平耳道へと直角に曲がる「L字型」の特殊な構造をしています。手探りで綿棒を差し込む行為は、表面の汚れを一部拭い取る代わりに、ダニの成虫や卵、排泄物の塊を耳道の最深部、すなわち鼓膜の直前へとピストン運動のように力任せに押し込んでいるだけに過ぎません。

さらに、ダニの寄生によって極度に肥厚し充血したデリケートな耳道粘膜を綿棒の硬い軸で擦ることで、微小な裂傷が無数に生じます。そこへ黄色ブドウ球菌や緑膿菌などの二次感染が加わり、激痛を伴う化膿性外耳炎や鼓膜穿孔を引き起こす事例が後を絶ちません。

もうひとつの危険な誤解が「そのうち免疫で自然治癒するのではないか」という根拠のない楽観論です。断言しますが、犬の耳ダニ感染症が自然治癒することは医学的にあり得ません。ダニは耳道という外部寄生虫にとっての理想郷で世代交代を永遠に繰り返すため、薬理作用によって成虫・幼虫を根絶やしにしない限り、感染は数カ月、数年にわたって継続します。

放置された犬は、四六時中続く猛烈な痒みと灼熱感から逃れるため、壁や床に頭部を打ち付けたり、後ろ足で狂乱状態になって耳を掻きむしり続けます。その結果、耳介軟骨と皮膚の間を走る毛細血管が激しい機械的衝撃で断裂し、耳介内に血液が急速に貯留して風船のようにパンパンに膨れ上がる「耳血腫(じけっしゅ)」を併発します。耳血腫に至ると、注射針による反復的な排液処置や、耳介軟骨を貫通させて縫合固定する侵襲性の高い外科手術が避けられなくなり、愛犬への身体的負担と治療費は跳ね上がることになります。

橋本 菜々子
著者

橋本 菜々子

グルメと旅を愛するフリーライター。全国各地の隠れた魅力を独自の視点から紹介します。