物語のクライマックスである『王の帰還』において、ゴラムの最期は極めて象徴的かつ皮肉な形で描かれます。指輪の誘惑に屈し、火口で指輪の破棄を拒んだフロドにゴラムが飛びかかり、フロドの指を噛みちぎって指輪を奪い返した瞬間でした。
歓喜に狂い、ついに取り戻した「いとしいしと」を掲げて踊るゴラムですが、足元を踏み外して煮えたぎるマグマへと落下していきます。溶岩に身体を焼かれ命が尽きる最後の瞬間まで、彼は苦痛の叫びではなく、指輪を高く掲げて恍惚の表情を浮かべていました。
皮肉にも、英雄フロドですら成し遂げられなかった「指輪の破壊」は、ゴラムの尽きない執着によって達成されました。中つ国の平和は、最も哀れな怪物の執念という犠牲の上に成り立ったのです。