ウェブ空間において今、文化的な損失として深刻に議論されているのが、アイドル公式ブログ過去ログの唐突な消失問題です。女性アイドルグループや若手男性グループにおいて、メンバーの卒業や脱退、グループ解散が発表された瞬間、あるいは契約満了の数日後をもって、数年分に及ぶブログの全記事が一斉に非公開・消去される事態が常態化しています。
ファンにとって、駆け出しの下積み時代からドーム公演に立つまでの軌跡が刻まれたブログは、かけがえのない青春の記録です。芸能人ブログ歴代人気記事の中には、グループの歴史を証言する貴重なテキストが無数に含まれています。それにもかかわらず、なぜ運営会社は過去ログを保存せず、完全に消去してしまうのでしょうか。
背景にあるのは、タレントが事務所を離れた後の「肖像権・著作権の管理責任」と「デジタルタトゥー防止」の2点です。事務所側としては、契約が切れたタレントの写真や記述を自社のサーバー上に残し続けることは、法的な管理コストと権利侵害のリスクを抱え続けることを意味します。また、タレント本人にとっても、過去の未熟な発言や若気の至りが将来のキャリアに影響を与えないよう、契約終了時に一度すべてをリセットしたいという意向が働くケースも少なくありません。
現在、熱心なファンによる非公式の魚拓保存や個人アーカイブ化が試みられていますが、著作権法上のグレーゾーンを孕んでいます。デジタルメディアの記録をどう後世に残すのかという問題は、個々のファン感情を超えたデジタルアーカイブ時代の重要課題となっています。