放送当時、ソーシャルメディア(当時のTwitter・現Xなど)で毎朝トレンドを席巻したのが、永野芽郁が見せた圧倒的な「泣き演技」のリアリズムでした。朝ドラにおけるヒロインの涙は、ともすれば美しく整えられた記号的な表現になりがちです。しかし、彼女が体現した鈴愛の涙は、鼻を赤く腫らし、喉の奥から嗚咽を漏らすような、剥き出しの人間の痛みそのものでした。
特に視聴者の心を激しく揺さぶったのが、心血を注いだ漫画家への夢を断念する場面や、オフィス・ティンカーベルを去る師匠・秋風羽織(豊川悦司)との別れ、そして何より幼馴染である律とのすれ違いに直面した瞬間です。ネット上では「朝からこんなに胸が締め付けられる演技を見せられるとは思わなかった」「鈴愛が泣くと条件反射で涙が出る」といった投稿が相次ぎました。
一方で、北川悦吏子氏が描く鈴愛という人物像は、従来の朝ドラヒロインのような「品行方正で健気な優等生」ではありませんでした。思ったことを直情的に口にし、周囲を振り回すエゴイスティックな一面も隠さずに描かれたため、ネット上では一時「鈴愛の言動に共感できない」という議論が巻き起こったことも事実です。しかし、そうした賛否両論の摩擦熱こそがドラマの推進力となり、最終的には永野の溢れんばかりの愛嬌と血の通った演技力が、鈴愛という人間を誰からも憎めない魅力的な存在へと着地させました。