街づくりを志す初心者が最初に行う作業として最も多いのが「大規模な整地」です。山を削り、谷を埋め立て、見渡す限りのフラットな土地を作ってから建築を始めようとします。しかし、これはプロの都市景観デザイナーから見れば「自ら難易度を跳ね上げている行為」にほかなりません。
現実の魅力的な街(例えばイタリアのトスカーナ地方や日本の尾道、長崎など)を思い浮かべれば明らかなように、街の魅力や風情は「高低差」と「曲がりくねった小道」によって生まれます。平坦な土地に建物を整然と並べると、視線がどこまでも抜けてしまい、空間の奥行きや「この角を曲がったら何があるのだろう」というワクワク感(心理学でいう探索動機)が完全に失われてしまいます。
山肌に沿って階段状に家を建てる、小さな丘の上に教会や見張り小屋を配置する、川の蛇行に合わせて道をカーブさせるといった、自然の起伏に逆らわないアプローチこそが、初心者が最も簡単に「プロっぽい景観」を作り出すための近道です。整地にかける膨大な時間を、段差を繋ぐ石段や擁壁のディテール作りに回すことこそが賢明な判断と言えます。