北海道の冬は厳しい寒さと雪に閉ざされますが、登別クマ牧場冬期営業には夏場を遥かに凌駕する圧倒的な魅力が潜んでいます。野生のエゾヒグマは冬季に冬眠(冬ごもり)に入りますが、登別クマ牧場では十分な給餌と徹底した健康管理が行われているため、冬眠することなく元気に雪上を駆け回る姿を観察できます。
何より圧巻なのは、極寒の寒さに耐えるために蓄えられた「フサフサの冬毛」です。夏場の引き締まった体躯とは打って変わって、倍近くに膨らんだかのような豊かな毛並みは、まさに百獣の王の風格を漂わせます。真っ白な新雪の上にどっしりと座り、雪をかき分けてエサを探す姿や、雪煙を上げてじゃれ合う様子は、北海道の厳冬期でしか拝めない奇跡の情景です。また、冬場は空気が澄み渡る日が多く、晴天時の倶多楽湖展望台からの雪景色は息を呑む美しさを誇ります。ただし、山頂は氷点下5度から10度近くまで冷え込み、強風が吹き荒れる日もあるため、スキーウェア並みの防寒・防風対策と滑り止めの効いたスノーブーツの着用が絶対条件となります。
登別への旅を真に充実させる秘訣は、山頂の牧場だけで終わらせず、周辺エリアとシームレスに結びつけた回遊ルートを組むことです。登別温泉周辺観光スポットには、車や徒歩でスムーズに巡れる名所が凝縮されています。
筆者が推奨する王道の1日モデルコースは以下の通りです。
午前9時半、まずは温泉街から徒歩すぐの「登別地獄谷」を散策。湯煙が立ち上るダイナミックな爆裂火口跡を木道から見学し、そのまま原生林の遊歩道を抜けて「大湯沼川天然足湯」へ向かいます。天然の温泉川に足を浸して旅の疲れを癒やした後、温泉街に戻って早めの昼食を済ませます。正午前にロープウェイ乗り場へ移動し、事前購入した電子チケットでスマートに山頂へ。14時頃まで「人の檻」やヒグマ博物館、ユーカラの里をじっくり堪能します。山を降りた午後は、車で約10〜15分の距離にある「登別伊達時代村」で江戸時代の忍者ショーを観賞するか、あるいは水族館「のぼりべつマリンパークニクス」でペンギンの雪中散歩を見学するルートへと繋げば、北海道屈指の濃密な観光体験が完成します。