磯村勇斗が映像業界で「カメレオン俳優」と称賛される最大の理由は、作品ごとに骨格や声のトーン、醸し出す空気感そのものを変形させてしまう憑依力にあります。
例えば『今日から俺は!!』で見せた相良猛役では、冷徹で容赦のない凶暴性をギラついた眼光だけで表現し、視聴者を本気で恐怖させました。その一方で、『きのう何食べた?』の「ジルベール」こと井上航役では、ボサボサ頭に無精髭というビジュアルながら、恋人に甘えワガママを言いながらも根底に深い孤独を抱えるゲイの青年を非常にキュートかつ繊細に演じ切っています。
さらに『恋する母たち』では、吉田羊演じる既婚の上司を情熱的に口説き落とす年下男性を演じ、世の女性視聴者を虜にしました。極悪非道なヤンキー、甘え上手な小悪魔、大人の色気漂う肉食男子、そして昭和のツッパリまで、彼の演じる人物には一切の「型」が存在しません。役柄の感情の機微を緻密にロジカルに構築しつつ、カメラの前では本能的に解き放つというバランス感覚が、業界内外での極めて高い演技力評価へと繋がっています。