世界的に見れば、男性から女性へ、あるいは愛する家族や友人にカードや花束を贈るのが一般的なバレンタインの風景だ。それにもかかわらず、日本において「女性が男性にチョコレートを渡して愛を告白する日」という独自のスタイルが定着したのは、昭和30年代(1950年代後半)の洋菓子メーカーによるマーケティングキャンペーンがきっかけとされる。
当時、まだ控えめだった日本の女性たちが「自分から想いを伝えるきっかけ」としてチョコレートという媒体が絶妙に機能した。伊勢丹やメリーチョコレートをはじめとする企業の仕掛けが見事にハマり、高度経済成長期の熱気とともに日本全国へ浸透。その後、バブル期を経て「義理チョコ」や「友チョコ」といった多層的なバリエーションが生み出され、日本独自の巨大市場へと成長を遂げたのである。