決して順風満帆なエリート街道を歩んできたわけではない。大学卒業後に一度は一般企業へ就職し、わずか数日で退職。その後、演劇の世界に身を投じるも、長い雌伏の時を過ごした。実力派が揃う名門事務所「フロム・ファーストプロダクション」に所属し、地道な端役を重ねながら、ワンシーンで強烈な爪痕を残す技術を磨き上げていった。
その積み重ねが花開いた象徴が、NHK大河ドラマでの重厚な演技群だ。歴史の荒波に翻弄され、権謀術数を巡らせる武将や官僚を演じる際、彼が醸し出すリアリティは物語の屋台骨を支える。滑稽さと冷酷さ、情けなさと威厳。人間という多面的な存在をそのまま提示できる稀有な立ち位置は、長い下積みの中で磨かれた観察眼の賜物と言える。