転倒がありながらも金メダルを手繰り寄せられた最大の要因は、カナダ・トロントの「クリケット・クラブ」で培ったスケーティング技術と緻密な戦略にありました。名伯楽として知られるブライアン・オーサー コーチは、羽生選手の類稀なジャンプ力に加え、一蹴りで大きく伸びる滑らかなスケーティングスキルの徹底強化を図っていました。
転倒による減点を受けながらも、基礎点(ベースバリュー)の高さと、スピン・ステップすべてで最高評価のレベル4を獲得した技術力。そして表現面を評価するプログラム構成点(PCS)で高い評価を維持できたことが、僅差の勝負を制する決定打となったのです。オーサーコーチの冷静なメンタルコントロールと戦略眼が、19歳のポテンシャルを最大限に守り抜きました。