「熱がないのに舌だけがブツブツしている」「大人の舌が赤く腫れ上がっている」という事例に関して、SNSや医療相談掲示板では日々多くの不安の声が寄せられています。感染症の典型例から外れるケースについて、小児科医や内科医への取材から浮き彫りになった実態を検証します。
第一に、「発熱を伴わないイチゴ舌」の背景には、栄養欠乏症(特にビタミンB12、葉酸、亜鉛の不足)による萎縮性舌炎(ハンター舌炎)や、特定の食品・歯磨き粉成分に対する接触性アレルギーが存在します。舌の表面が平滑化しつつ乳頭部だけが充血するため、見た目がイチゴ舌そっくりになる現象です。また、溶連菌に感染したものの免疫反応が限定的で、微熱程度で経過してしまった「不全型」の感染例も少なからず確認されています。
第二に、「大人のイチゴ舌」は子どもからの家庭内感染による溶連菌咽頭炎が主流です。成人の場合、扁桃腺の免疫機構が発達しているため強い高熱が出ず、単なる「ひどい喉風邪」と誤認して放置されるケースが目立ちます。しかし、大人であっても溶連菌毒素による中毒性ショック症候群(TSLS)のリスクや、家族間でのピンポン感染源になる恐れがあるため軽視は禁物です。