高市氏がオートバイの魅力に取り憑かれたのは、1980年代前半、神戸大学経営学部に在籍していた時代です。当時は日本全体で空前のバイクブームが巻き起こっており、若者文化の象徴として250cc〜400ccクラスの中型車が熱狂的な支持を集めていました。
最初に手に入れた本格的な愛車が、カワサキが1982年に投入した中量級スポーツの傑作Z400GPでした。角型ヘッドライトと空冷4気筒DOHCエンジンを備えた硬派なスタイリングで、当時の若者にとって憧れの的だったマシンです。高市氏はアルバイトで資金を貯め、この漆黒の車体を駆って関西エリアの峠道やツーリングスポットを縦横無尽に走破していました。
さらに彼女のバイク愛を物語るのが、昭和の時代に「合格率数パーセントの超難関」として恐れられていた大型二輪免許(当時の運転免許試験場での限定解除審査)を一発試験で取得した点です。限定解除を果たした高市氏が次に選んだマシンこそ、ハンス・ムートがデザインした前衛的フォルムで世界を震撼させたスズキの名車、GSX750Sカタナでした。小柄な女性ライダーが750cc(ナナハン)のセパレートハンドル車を操る姿は、当時のキャンパスやパーキングエリアでも異彩を放っていたと伝えられます。