横浜地方裁判所で行われた公判において、最大の争点は植松聖の刑事責任能力(心神喪失または心神耗弱の有無)でした。
弁護側は「長年常用していた大麻による大麻精神病、またはパーソナリティ障害により、心神喪失または著しい心神耗弱状態にあった」として無罪または減刑を主張しました。これに対し、検察側は精神鑑定の結果を踏まえ、「パーソナリティの偏りや大麻使用はあるものの、犯行は一貫した目的意識と計画性に基づいて行われており、完全責任能力があった」と反論しました。
2020年3月16日、横浜地裁(青沼潔裁判長)は検察側の主張を全面的に認め、死刑判決を言い渡しました。判決理由において裁判所は以下の点を厳しく指摘しています。
- 周到な計画性:結束バンドや複数の刃物を事前に準備し、警備の薄い未明の時間帯を狙って職員を拘束するなど、極めて合理的かつ冷酷に行動している。
- 犯行の悪質性:抵抗できない重度障害者のみを選別して首や胸を執拗に突き刺しており、19人もの命を奪った結果は戦後最悪の凶悪犯罪である。
- 自己決定の存在:大麻の影響は思考の引き金の一部に過ぎず、優生思想を内在化させ犯行を実行に移したのは被告自身のパーソナリティと自己決定によるものである。
判決後、弁護側は控訴したものの、植松本人が「これ以上裁判を長引かせるのは意味がない」として自ら控訴を取り下げ、死刑が正式に確定しました。