国分太一が直面した最大の健康危機は、2009年にさかのぼります。当時、多忙を極めるレギュラー番組の収録が続く中、右腹部に強い違和感と激痛を覚えたことが発端でした。精密検査の結果、医師から告げられた病名は「デスモイド腫瘍」。良性腫瘍に分類されるものの、周囲の筋肉や骨などの組織へ浸潤するように増殖する極めて厄介な境界病変でした。
腹部の中で拳大(およそ10cm前後)にまで巨大化していた腫瘍は、すでに右側の肋骨にまで癒着していました。放置すれば内臓や骨構造を物理的に圧迫・破壊しかねない緊迫した状況下で下された決断が、腫瘍の切除に伴う肋骨の一部の切除を含む大手術です。
当時の特番インタビューや回想録で本人が語ったところによると、手術時間は約8時間におよぶ大掛かりな開腹処置でした。患部を切除しただけでなく、骨の一部を取り除いたことによる術後の肉体的苦痛は想像を絶するもので、呼吸をするだけで激痛が走る状態だったと明かされています。
しかし、約1か月の入院生活を経て、リハビリを重ねた彼は見事に仕事復帰を果たしました。病気の事実を退院直後に大々的にアピールすることなく、まずは目の前の生放送や収録を全うした姿勢は、プロフェッショナルとしての強い矜持を物語っています。