公式発表資料および番組制作陣への取材によると、シリーズ第10作目となる『無用庵隠居修行10』の放送日は、2026年9月22日(火・祝)19時00分〜20時54分のゴールデン帯に決定した。2017年の第1弾放送以来、年に1度の秋の風物詩として定着してきた本シリーズだが、丸10年にわたり同一キャストでスペシャル時代劇が継続制作される例は、民放衛星放送の歴史においても極めて稀有な快挙である。
主演を務める水谷豊は、節目の撮影を終えた際の囲み取材で「10作という大台を迎えられたのは、スタッフと仲間たちが積み重ねてきた信頼関係の賜物。続けてきたことそのものが力になっている」と感慨をにじませた。かつて『相棒』で一時代を築いた岸部一徳との阿吽の呼吸について尋ねられると、「現場で目が合えば、台本に書かれていない空気感すら瞬時に共有できる」と柔らかな笑みを浮かべたのが印象深い。
気になる無用庵隠居修行のあらすじだが、今作では半兵衛の人間味と武士の矜持がより深く掘り下げられる構成となっている。かつて江戸城で机を並べ、切磋琢磨した直参旗本の旧友と偶然再会した半兵衛。しかし、その友は理不尽な理由で役目を解かれ、最愛の妻をも亡くして酒に溺れる荒んだ日々を送っていた。不審に思った半兵衛が内情を探ると、背後には私腹を肥やす新興の悪徳商人と、それに結託する幕閣の影がちらつく。
弱者の涙を見過ごせない半兵衛一行は、証拠を掴むために大胆不敵な潜入計画を決行。劇中最大のハイライトは、半兵衛が世にも怪しげな「インチキ祈祷師」、そしてお転婆な旗本息女・奈津(檀れい)が艶やかな「踊り子」へと身をやつす変装シーンだ。緊迫したサスペンスの中に、思わず吹き出してしまうユーモアを織り交ぜる無用庵節は、10作目にしてまさに円熟の極みに達している。