禁煙と禁酒を成功させる上で、避けて通れないのが「脳の物理的リハビリ期間」への理解です。長年の喫煙と飲酒によって、脳のドーパミン受容体は過剰な刺激から身を守るために数を減らし、感度を鈍らせています(ダウンレギュレーション)。外部からニコチンやアルコールが入ってこなくなると、脳内は急激なドーパミン不足に陥り、これが強烈なイライラや抑うつ、倦怠感といった禁煙禁酒離脱症状の引き金となります。
医学的知見によると、このドーパミン回復期間はおよそ2週間から3ヶ月を要します。最初の72時間で体内からニコチンやアセトアルデヒドなどの毒素が抜け始め、2週間前後で自律神経の乱高下が落ち着いてきます。そして3ヶ月が経過する頃には、脳の受容体密度が非喫煙者・非飲酒者に近い正常値へと戻り始めるのです。
退屈に押しつぶされそうになったときは、「今、自分の脳細胞がアンテナを再調整している真っ最中なのだ」と客観視することが極めて有効です。退屈は破滅の兆候ではなく、脳が正常化しつつある決定的な証拠といえます。