長年愛された「海の門」が営業を停止した背景には、複数の現実的な課題が重なっていました。関係者の証言や当時の地域経済状況を分析すると、主な閉店理由として以下の3点が浮き彫りになります。
第1の決定打となったのは、過酷な立地条件による建物の急速な老朽化と莫大な維持コストです。海に突き出た断崖絶壁というロケーションは、絶景をもたらす一方で、強烈な潮風と激しい風雪に常に晒され続ける環境を意味していました。外壁や基礎、鉄骨部分への塩害被害は深刻で、安全基準を満たす大規模改修には数千万円単位の設備投資が必要な状態に達していました。
第2に、平成中後期における地方経済の縮小と人口減少が挙げられます。室蘭市の人口動態や外食産業の市場構造が変化する中、建物の抜本的建て替えに見合う長期的な採算確保が困難視されました。これに加えてオーナー・調理スタッフの高齢化が重なり、事業承継ではなく営業終了という苦渋の決断が下されました。
閉店後、建物は一時的にそのまま残されていたため、建物の荒廃が進行しました。しかし、強風による部材飛散や不法侵入などの安全上のリスクを重く見た関係者・自治体等の対応により、2010年代以降に建物は完全に解体撤去されました。