愛内里菜とコナンのコラボレーションを語る上で欠かせないのが、2000年に放映された「恋はスリル、ショック、サスペンス」のオープニング映像です。蝶ネクタイとジャケット姿のコナンが、一切笑顔を見せず真顔で本格的なパラパラを踊る演出は、当時の視聴者に凄まじい衝撃を与えました。
この演出が生まれた最大の背景には、当時の制作プロデューサー(読売テレビの諏訪道彦氏ら)による実験的精神と、1990年代末から2000年代初頭にかけて日本中を席巻した第3次パラパラブームの融合があります。当時、アニソンのオープニングはキャラクターが走ったりバトルしたりする王道パターンが主流でした。その中で「オープニングが始まった瞬間に視聴者の目を釘付けにし、翌日の学校や職場で話題にさせる仕掛け」として考案されたのが、キャラクターによるガチダンスだったのです。
当時放映された特番やアニメ制作陣の証言によると、真顔で踊らせた理由は「コナンは外見は子どもでも中身は頭脳明晰な高校生探偵・工藤新一である」というアイデンティティを崩さないためでした。笑顔で愛嬌を振りまくのではなく、クールに淡々と高難度の振り付けをこなすギャップこそが、シュールかつスタイリッシュな唯一無二の映像美を生み出したのです。