サターン聖がくまの襲撃に対して最も激昂したのは、肉体的なダメージではなく「完全に自我を奪い、遠隔停止スイッチを押したはずのサイボーグが命令に背いた」という事実でした。ここで語られたのが、天才科学者Dr.ベガパンクによる重大な告白です。
かつてサターン聖は、くまの改造手術の最終条件として「いざという時に爆破できる自爆スイッチ」の設置をベガパンクに義務付けていました。しかし、科学者としての倫理とくまへの深い敬意を捨てきれなかったベガパンクは、自爆装置ではなく「すべての生体機能をシャットダウンさせる完全停止スイッチ」へと密かに仕様を変更していたのです。
サターン聖がスイッチを起動した時点で、生物学的にも機械工学的にも、くまの肉体は完全に活動を停止しているはずでした。科学の論理を超えてくまを動かした原動力について、ベガパンクは絶滅種とされた「バッカニア族の未知なる肉体特性」、そして科学では説明のつかない「父性の力」であると確信します。権力と暴力で他者を支配しようとする世界政府の論理が、一人の父親の無償の愛によって打ち破られた象徴的な瞬間でした。