かつては核兵器の脅威のみを評価していた針だが、現代の分析対象はより複雑化している。なかでも地球温暖化をはじめとする気候変動の影響は、もはや将来の課題ではなく「目前の安全保障上の脅威」として重く評価されている。極端な気象現象の日常化、海面上昇、水や食料をめぐる争奪戦は、脆弱な国家を内側から崩壊させ、地域紛争の火種を散らしている。
さらに、急速に脅威度を増しているのが人工知能(AI)や合成生物学といった制御不能な技術の拡散だ。特に意思決定へのAI導入は、人間の理性的判断を介さないまま衝突を拡大させる危険性をはらむ。サイバー攻撃による重要インフラの停止やバイオテロのリスクも相まって、脅威は相互に絡み合い、かつてない強度の複合的危機を生み出している。