欧米のスーパーで売られている卵の多くは、最初から「加熱調理」を前提として棚に並んでいる。そのため、海外における賞味期限は採卵後1ヶ月以上に設定されていることも珍しくない。一方、日本は世界でも稀有な「卵を日常的に生で食べる文化」を持つ国だ。すき焼き、卵かけご飯、月見うどん。この独自の食文化を支えているのが、世界で最も厳格とも言われる日本の表示基準である。
日本卵業協会が定めるガイドラインでは、卵の賞味期限は「安心して生食できる期間」として算出されている。鶏舎での採卵から洗卵・消毒、そしてGPセンター(選別包装施設)でのパッキングを経て、一定の温度管理のもとで家庭に届くまでのプロセスが厳密に計算されているのだ。つまり、パックに記載された日付が経過した瞬間から始まるのは、食べられなくなるカウントダウンではなく、「加熱調理専用期間」への切り替えに過ぎない。