ゲレンデを語るうえで、カルチャーシーンとの結びつきを無視することはできない。かつて韓国で社会現象を巻き起こし、アジア全土を熱狂させたスパイアクション大作『IRIS-アイリス』。主演のイ・ビョンホンが銃撃戦や逃走劇を繰り広げたロケ地として、この銀嶺は一躍その名を海の外へと轟かせた。
近年、Netflixをはじめとするグローバル配信プラットフォームで名作ドラマが再評価される動きに伴い、かつてのロケ地が再び脚光を浴びている。仙北市の白銀の世界をスクリーン越しに観た若い世代のインバウンド旅行者が、スキー板やスノーボードを携えてゲレンデを訪れる光景は珍しくない。物語のノスタルジーとリアルな雪山体験が交錯する場所として、文化的な重層性を帯び始めている。