歴代の理事一覧の中で、常に国民や国会から厳しい視線が注がれてきたのが、監督官庁である「総務省出身NHK理事」の存在、すなわち天下り構造です。放送法上、理事は会長が「NHK経営委員会の同意」を得て任命します。しかし実態は、監督官庁である総務省とNHK上層部の間で、水面下の事前折衝が重ねられてきました。
総務省の官僚OBが理事に就く背景には、放送法改正、受信料制度の維持、周波数割り当て、さらにはNHKのインターネット配信業務の拡大といった極めて政治的な課題があります。NHK側からすれば「行政とのパイプ役による円滑な政策調整」、総務省側からすれば「監督対象への実質的な影響力保持」という双方の利害が一致してきた歴史があります。
しかし、この不透明な人事交流は度々ハレーションを引き起こしてきました。過去には、経営委員会との対立や業務上の意見対立から任期半ばで退く事態も発生しており、公表される表面的な理由(「一身上の都合」など)の裏には、政策方針を巡る政治的駆け引きや内部権力闘争が存在したことが報道機関によって暴かれています。受信料という国民負担で成り立つ公共放送に、監督官庁の幹部が天下る構図は、利益相反の観点からも批判の火種であり続けています。