「人間宣言」を巡っては、今日でもいくつかの大きな誤解が存在します。
第一の誤解は、「昭和天皇が自らを普通の一般市民と同じ存在であると宣言した」という見方です。詔書で否定されたのは「現御神(現人神)」という超越的絶対者としての位置づけであり、皇室の祖先とされる天照大神を祀る祭祀や、皇統の歴史性そのものを否定したわけではありません。宮中祭祀はその後も天皇の私的行為として厳格に継続されています。
第二の誤解は、当時の国民が大きなショックを受けて絶望したという言説です。実際の日本国民の反応は、戦時中の極端な神格化から解放されたことへの安堵や、日々の食糧難・生活苦への関心が勝っており、海外メディアが報じたような「天地がひっくり返るほどの衝撃」とは温度差がありました。当時の日記や手記を紐解くと、「天皇陛下がより身近な存在になった」と好意的に受け止める庶民の声が多く記録されています。