なぜ日本を代表するキー局は、視聴率40%超を連発するキラーコンテンツを手放さざるを得なかったのでしょうか。民放連関係者や大手広告代理店の証言を総合すると、最大の要因はWBC放映権料の天文学的な高騰にあります。
2023年大会の日本国内向け放映権料はおよそ30億円前後と試算されていましたが、大谷翔平選手の世界的スターダムへの到達や世界的なスポーツコンテンツの資産価値上昇を背景に、2026年大会の権利料は推定150億円規模にまで跳ね上がりました。わずか3年で約5倍という急騰ぶりです。
これまで侍ジャパンの放映権を共同で支えてきたテレビ朝日とTBSの連合体にとって、この金額はもはや地上波テレビの単体ビジネスとして回収できる限界を完全に超越していました。地上波放送の収益源は企業からのタイムCM・スポットCM広告料ですが、長引く国内景気の停滞とテレビ広告費のインターネットシフトが進むなか、たとえ瞬間最高視聴率が50%を記録したとしても、150億円の権利料に数億円単位の中継制作費を上乗せした巨額コストを回収することは不可能です。
公式発表や業界レポートが示す通り、莫大なグローバル資本を背景に全世界で約3億人の有料会員基盤を持つNetflixが「ライブ配信市場の覇権獲得」を狙って一括提示したマネーゲームに対し、国内の地上波民放局は撤退以外の選択肢を奪われたというのがテレビ放映権ビジネスのシビアな裏側です。