『のび太の海底鬼岩城』を語る上で欠かせないのが、観客の心に強烈な恐怖を植え付けたトラウマ演出の数々です。原作者の藤子・F・不二雄氏が描く緻密なSF考証と、芝山努監督による緊迫感あふれる映像表現が合わさり、児童向けアニメの枠を完全に超えたホラーサスペンスが展開されました。
特に読者や視聴者に強い恐怖を与えた要素として、以下の3点が挙げられます。
- テキオー灯の効果切れによる水圧死の恐怖:深海1万メートルの世界で、ドラえもんのひみつ道具「テキオー灯」の効力が切れると生身の人間は一瞬で水圧に押し潰されるという現実的なタイムリミット設定。
- 深海の闇と幽霊船の不気味さ:太陽の光が一切届かない暗黒街で突如現れる幽霊船、船室に散らばる白骨死体、そしてダイオウイカの突如の襲来。
- 感情を一切持たない殺人機械ポセイドン:無機質で重厚な声(声優:富田耕生)で冷酷なカウントダウンを刻むポセイドンと、ドラえもんたちを容赦なく追い詰める「鉄魚」の大群。
映画中盤、夜の海でスネ夫とジャイアンが勝手にバギーで遠出し、テキオー灯の効力が切れかけて意識を失うシーンは、逃げ場のない深海における「死のリアル」を生々しく描き出しています。