寝具の素材によって、耐熱性や吸放湿性は劇的に異なります。綿(コットン)や合繊の感覚でデリケートな天然素材を干してしまうと、かえって保温力や復元性を著しく低下させる原因になります。素材ごとの特性を見極めた「干し分け」が欠かせません。
特に取り扱いに注意が必要なのが羽毛布団です。高級羽毛布団の側生地には高密度に織られた極細の綿やシルク、機能性ポリエステルが使われていますが、直射日光に含まれる紫外線を受けると側生地が急速に劣化し、中のダウンが吹き出すトラブルに直結します。また、羽毛そのものに含まれる適度な油分が熱で抜けてしまい、羽毛本来のふんわりとした「かさ高」が失われてしまいます。羽毛布団の正しい干し方は「風通しの良い日陰干し(陰干し)」であり、頻度も月に1〜2回、湿気の少ない晴天日に1〜2時間程度風を通すだけで十分です。どうしても天日干しをしたい場合は、必ず綿のカバーを掛けたまま干し、紫外線を直接当てない工夫が求められます。
一方、吸湿性が高く湿気を内部に溜め込みやすい綿の敷布団は、定期的な日光浴が欠かせません。綿の敷布団を干す際は、湿気が溜まりやすい床側の面(裏面)を太陽に向けて1〜2時間干し、その後に表面を1〜2時間干す、合計3〜4時間が黄金比です。ただし、ポリエステルなどの合繊布団は吸湿性が低いため、長時間の天日干しは素材を傷めるだけで意味をなさず、片面30分〜1時間程度で十分湿気が抜けます。
また、布団干しの最適な時間帯は、大気中の湿度が最も低くなる午前10時から午後14時(遅くとも15時まで)です。早朝は夜間の夜露が残っており、夕方15時を過ぎると今度は大気中の湿度が急上昇して布団が湿気を吸い戻してしまいます。冬場に布団を干す際は日照時間が短く空気の冷え込みも早いため、11時から13時までの約2時間に集中させて取り込むのが、ふっくら感を保つ秘訣です。