かつて「時代の寵児」と持て囃されたグッドウィルグループは、一体なぜあれほど急激に崩壊したのか。その決定的な引き金となったのが、子会社・株式会社コムスンによる介護事業所の指定申請を巡る虚偽・不正問題(コムスン事件)でした。
2000年4月にスタートした介護保険制度の創設を受け、折口氏は「民間による高品質な介護サービスの全国展開」を掲げて介護業界へ本格進出。全国規模で事業所を急拡大させ、業界トップシェアへと躍り出ました。しかし、その急激な拡大戦略の裏側では、人員基準を満たさない拠点に別拠点の介護職員の名前を重複登録する「人員水増しによる虚偽申請」や、不当な介護報酬不正請求が組織的に横行していました。
厚生労働省の調査により、全国に展開していた事業所のうち多数で指定取消相当の不正が確認され、2007年6月、同省はコムスンに対する事業所指定の更新を原則認めない処分を発表。事実上の介護市場からの退場宣告でした。当時、折口氏は記者会見を開き、事業所を都道府県単位で他社へ無償譲渡して責任を回避しようと試みましたが、世論と監督官庁の猛反発を招き、譲渡計画は撤回に追い込まれました。
さらに致命傷となったのが、コムスン問題の最中に発覚した主力事業・グッドウィル本体における違法派遣スキャンダルです。介護事業の収益源を断たれただけでなく、グループの中核である人材派遣事業でも法律違反が露呈したことで、メガベンチャーは完全に逃げ場を失いました。