ネット上のギタリストコミュニティではしばしば「米津玄師の曲はテンションコードだらけで敷居が高い」という言説が飛び交いますが、これは一面的な誤解を含んでいます。
米津サウンドの真髄は、実は「複雑怪奇なテンションコードの羅列」ではなく、「ベース音のライン取り」と「メロディの音数」の絶妙なバランスにあります。伴奏の和音そのものはシンプルなトライアド(三和音)であっても、ボーカルが9thや11thといったテンションノートを自在に歌い上げることで、全体として高度に響く構造が採用されています。
プレイヤーがつまずく最大の盲点は、左手のフォームではなく「右手のストロークとリズムのシンコペーション」です。拍の頭を食って前のめりにコードチェンジするフレーズが随所に組み込まれているため、メトロノームを使わずにコードチェンジだけを練習していると、どれほど正しい和音を押さえていても「米津玄師らしい疾走感」が生まれません。左手は基本コードのままでも、右手のアクセント位置を原曲と一致させることこそが、ネットの解説動画では語られにくい最大の攻略ポイントです。