海辺やダイビングにおいて安全性に関わる最も重要な要素が、毒針の有無です。英語圏で一般的なエイを指す「スティングレイ(Stingray)」という名称は、文字通り「刺す(Sting)エイ(Ray)」を意味します。
浅瀬や砂浜にも生息するアカエイなどのスティングレイ類は、尾の付け根付近にノコギリ状の鋭い尾棘(びきょく)を持っています。この棘には強烈なタンパク質毒が含まれており、誤って踏みつけると長靴やウェットスーツを貫通して激痛や組織壊死、場合によってはアナフィラキシーショックを引き起こす危険性があります。
対照的に、マンタには毒針が一切存在しません。かつて祖先が持っていた尾棘は進化の過程で完全に退化・消失しており、人間を攻撃する武器を持たない温厚な巨大魚です。
万が一、海でアカエイ等の毒棘に刺された場合は、以下の初期対応が鉄則となります。
1. 患部の洗浄:針が残っていれば慎重に抜き、海水や真水で傷口を洗い流す。
2. 温熱療法:エイの毒素は熱に弱いタンパク質性のため、43〜45度程度の熱めのお湯(火傷しない温度)に患部を40〜90分程度浸すことで毒素を失活させ、痛みを劇的に和らげる。
3. 救急受診:毒の除去と細菌感染予防のため、応急処置後は直ちに医療機関へ搬送する。