物語のクライマックスにおいて、観客に強い戦慄を与えるのが高良健吾演じるアマの無残な死と、その背後に浮かび上がるシバの影です。
ルイに純粋な愛情を注ぎ、スプリットタンや身体改造の世界へ彼女を導いたアマは、ある日突然、裏路地で暴行を受け、顔面を破壊された無残な遺体となって発見されます。警察の捜査ではヤクザとのトラブルによるものと処理されますが、シバの言動や視線の端々に、彼が裏で糸を引いていた、あるいは直接手を下したことを示唆する描写が積み重なります。
シバにとってルイは、自らが求める究極の被虐性を秘めた存在であり、アマはその関係を邪魔する存在であると同時に、シバ自身の暴力衝動を刺激する格好の標的でした。アマを消し去ることでルイを精神的な孤立へ追い込み、自分だけの世界へ閉じ込めるという残酷な支配構造。映画の結末において、ルイはシバの関与を確信しながらも彼との関係を断ち切ることはできず、スプリットタンの完成とともに、痛みという絶対的な感覚の中に生を見出していきます。
この歪んだ共依存の構図こそ、金原ひとみの原作が描き、蜷川幸雄と井浦新が映像美として昇華させた人間の深淵です。