『中国嫁日記』が商業的成功を収めていたまさにその最中、井上純一氏を突如として襲ったのが、自身が代表を務めていた玩具・フィギュア企画会社「シルバーブリッツ」における巨額横領事件でした。信頼を寄せていた共同経営者(元専務)によって、会社の売上金や井上氏個人の単行本印税を含む資金、総額数千万円から1億円規模に上る莫大な金銭が不正に着服・流用されていたことが発覚します。
この事件は単なる民事トラブルにとどまらず、納税資金の枯渇や会社の破綻危機、さらには連帯保証債務など、井上氏個人の生活基盤を根底から揺るがす深刻な事態へと発展しました。井上氏は被害事実を公表するとともに、警察への被害届提出、刑事告訴および民事訴訟に踏み切ります。
長期に及んだ裁判の結果、井上氏側の主張が全面的に認められ、相手方に対する損害賠償請求訴訟などで勝訴を勝ち取りました。しかし、横領された金銭の大半はすでに浪費されており、実際に口座へ満額が回収できたわけではありませんでした。
残された税金の追徴や関連負債に対し、井上氏は自己破産を選ぶ道もありました。しかし彼は破産を選ばず、連載の継続、経済解説漫画の執筆、新規ボードゲームのプロデュースなど、驚異的な執筆量とビジネス活動によって借金返済に正面から立ち向かいました。この壮絶な返済劇は、同じくクリエイター仲間やファンからの絶大な支持を集める要因となっています。