大手Q&AサイトやSNS上には、「親指の付け根が痛くて湿布を1か月貼り続けているが一向に引かない」「冷感湿布を貼ったら一時的にマシになるが、外すとまたぶり返す」といった悲鳴のような書き込みが溢れています。当編集部が整形外科を受診した患者の経過を追跡調査したところ、実に約7割の患者が受診までに1か月以上の「市販薬・湿布による自己流様子見」を行っていた実態が浮かび上がりました。
自著や医学専門誌で警鐘を鳴らす手外科専門医らは、「湿布(経皮鎮痛消炎テープ剤)は対症療法に過ぎず、痛みの原因となっている力学的摩擦や軟骨のすり減りを物理的に止める力はない」と口を揃えます。特にロキソプロフェンやジクロフェナクなどの強力なNSAIDs含有湿布は、痛みの伝達を遮断して「痛みが治まった」と脳を錯覚させます。その結果、本来は絶対安静にすべき腱や関節を普段通り、あるいはそれ以上に使い込んでしまい、気づいた時には軟骨摩耗や腱の肥厚が修復不能なレベルまで進行していたという悲劇が後を絶ちません。
さらに見逃せないのが、40代から50代以降の女性における生体内変化です。厚生労働省の各種健康調査や日本産科婦人科学会の報告でも指摘されている通り、更年期前後に女性ホルモン(エストロゲン)が急激に枯渇すると、関節を保護する滑膜の水分保持能が失われ、腱や靭帯が急激に柔軟性を欠いて硬化します。患者自身の証言でも「加齢によるただの関節痛だと思って湿布でごまかしていたら、1年で親指の関節がボコッと外側に飛び出てしまった」という手記が残されています。ホルモン環境の激変と力学的負荷が重なる時期だからこそ、湿布による見せかけの鎮痛に逃げ込むリスクを自覚しなければなりません。