視界に黒い影が動く・広がる原因とは?網膜剥離の兆候と受診目安

視界に黒い影が動く・広がる原因とは?網膜剥離の兆候と受診目安

視界に黒い影が動く・広がる原因とは?網膜剥離の兆候と受診目安とはどのようなものなのか? 詳しい意味を丁寧に紐解いて紹介します。

ウェブ上の知恵袋やSNSなどのコミュニティを分析すると、「視界のゴミを3週間放置していたら、ある朝急に半分見えなくなって救急車を呼んだ」「飛蚊症だと思って眼科へ行ったら、その場で即日レーザー手術室に運ばれた」といった切迫した手記や告白が数多く確認できる。

地域密着型の往診や早朝診療を展開し、過疎地域医療の第一線で多くの患者と向き合ってきた和歌山県・さとう眼科の院長をはじめとする日本眼科学会認定専門医らは、現場の実情として「初診患者の多くが『もっと早く来ればよかった』と口にする」という厳然たる事実を指摘している。網膜裂孔の段階で発見できれば、外来での短時間のレーザー治療(網膜光凝固術)によって裂け目の周囲を熱凝固し、剥離への進行を9割以上食い止めることができる。しかし、剥離が黄斑部まで到達してしまうと、大掛かりな入院手術を経ても元の視力を完全に取り戻すことは極めて困難になる。

現場の眼科医が直面する最大の壁は、「痛みがない」という眼底疾患の特性だ。眼球の奥にある網膜には痛覚神経が存在しない。そのため、血管が切れて出血しようと、網膜が裂けて剥がれようと、患者は「ただ黒い影がちらつくだけ」「少し見えにくいだけ」と感じてしまい、重篤な事態が起きているという実感を持ちにくいのである。

橋本 菜々子
著者

橋本 菜々子

グルメと旅を愛するフリーライター。全国各地の隠れた魅力を独自の視点から紹介します。